あ行
- ILO(国際労働機関)
- 1919年(大正8年)に設立され、現在は、国連の専門機関として重要な位置を占めている。その目的は、国際的に労働者の労働条件を改善して社会正義を確立し、世界平和に貢献すること。労働者の生活の向上、完全雇用、社会保障の実現等を促進することなどにある。政府、労働者、使用者の三者が機関討議には参加してのILOの条約と勧告は国際労働法典として世界中の国で参考にされ、各国の労働法の基礎、規準となっている。
現在1LO加盟国は、160を超えている。日本は、1938(昭和13年)に脱退し、1951年(昭和26年)に再加盟。1954年(昭和29年)5月には常任理事国(政府)となっているが、国内法の整備がすすんでいなく、重要な条約の批准をさらに促進していくことが求められている。
- アウトソーシング
- 業務の外部委託のこと。従来は、物流や保守、情報処理等の部門がその主な対象であり、また製造業などでは生産の下請け、外注化としてすでに行われていた。しかし最近は、企業リストラの激化を背景に、自社で処理する場合に比べて人件費の軽減を目的に総務や人事、研修、営業部門でも、外部委託が拡大しつつある。部門などをそっくり別会社化し、社員を出向・転籍させるなど明らかな人減らし策として行われていることもある。
- 斡旋(あっせん)
- 労働争議の調整方法の一つ、労働争議の解決にあたり、当事者の自主的な努力に対して援助を与え、これを解決に導くことを目的として労調法及び国労法によって設けられた制度。労働委員会(地方労働委員会及び中央労働委員会)の斡旋員が当事者である労使双方の主張を確かめ対立点を明らかにしながら労使間の話し合いをとりもち、斡旋案を示すなどして、争議が解決促進をはかる方法。斡旋について労使は受諾するか否かは労使の自主的判断による。
- EMS(イー・エム・エス)
- 機器の組み立てや資材調達などを請け負う電子機器受託生産サービス(EMS)の利用が、設備・人材のコスト削減など製造部門の固定費を抑えることを目的に電機メーカーの間で広がりつつある。EMSは資材調達から組み立て、物流まで一貫して引き受けて効率的な生産をサポートする経営モデルとして登場してきているが、電機メーカーにとっては、生産から物流まで実質的に委託することになるので、技術・技能の蓄積が失われるという負の側面もある。すでに、EMSで世界第2位のフレクストロニクス(本社・シンガポール)やソレクトロン(本社・米国)の大手が電機メーカーの工場を買収して日本に進出してきている。
- 異議なし
- 機関会議(大会や中央委員会)や集会などで執行部など提案者の提起に異論がなく、「イギナシ(異議なし)」と参加者が発することがある。提案事項に賛成という意味。
反対語:異議あり
- 黄犬契約(おうけんけいやく)(yellow-dog contract)
- 労働者が労働組合に加入しないこと、または現に加入している場合にはこれから脱退することを雇用条件とする労働契約のこと。このような契約は、使用者の不当労働行為として禁止されている(労働組合法7条1号)。したがって、このような条件がついた労働契約は無効になり、労働者を束縛することができない。
- オルガナイザー(オルグ)
- オルグともいう。一般的には労働組合に組織されていない労働者など一般の人たちを対象に、労働組合を結成や加入させるなど組織活動を行う者(組織者)のことをいう。あわせて、既存の組織のなかでの組織活動についてもオルグ活動などともいう。
- 解雇の制限(整理解雇4要件)
- 本来使用者の有している解雇の自由を制限するすべての制度を指す。この意味での解雇制限は、@労働基準法上の解雇制限制度(19条)、A解雇予告制度(20条)、B労働者の国籍、信条または社会的身分を理由とする解雇(3条)、C労働者が事業場に労働基準法若しくは安衛法またはこれらの法律に基づく命令の規定に違反する事実があることを労働基準監督署または労働基準監督官に申告したことを理由とする解雇(104条2項、安衛法97条2項)、D不当労働行為の制度(労働組合法7条)がある。
さらに裁判での判例では、整理解雇が認められる場合として、(1)人員削減の必要性があること(2)解雇を回避するための努力を行ったか(3)解雇対象者の選定が合理的であること(4)労使協議など妥当な手続きを行うこと、の4つの要件を1つでも欠けることなく満たすことが必要とされている。この要件を整理解雇4要件という。
。
- 解雇予告手当
- 使用者が労働者を解雇しようとする場合には、少なくとも30日前に予告しなければならないが、30日前に予告しないときは30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。
これを解雇予告手当といい、労働基準法第20条の手続きである。懲戒解雇で即時に解雇する場合も除外申請を労働基準監督署へ提出し認定されない限り、解雇予告手当の支払を免れるものではない。
- 会社更生法
- 株式会社が倒産し、再建の見込みのある場合、債権者、株主その他の利害関係人の利害を調整し、その会社事業の維持更生を図ることを目的としている。再建型倒産のなかで、裁判所の関与が最も強く、会社の債務、財産の管理・処分権は、すべて裁判所が選んだ管財人にゆだねられている。
- 可処分所得
- 所得のうち、税金、各種社会保険料などのように自分で自由に処分できない支出(非消費支出)を除いた、家計上自由にできる部分のこと。これはさらに、消費支出にあてられる部分と貯蓄その他にふりむけられる部分とに大別される。賃金が実質的に上昇しても、税金や健康保険料など社会保険料支出がそれ以上に増加すると、可処分所得は減少することになる。
- 家内労働法
- 家内労働者の労働条件の向上と生活の安定を図ることを目的としており、家内労働者の労働条件の最低基準を定めている。同法は、家内労働者と委託者との仕事についての委託関係を明確化するための、家内労働手帳制度、工賃の支払い方法及び最低工賃の決定、改正等のほか、安全及び衛生に関する行政措置について定めている。
- 仮処分
- 仮処分には、2つの種類がある。係争物に関する仮処分と仮の地位を定める仮処分である。
通常の訴訟手続きが手間取り、判決確定まで待てないような緊急の必要がある場合に、申請人に仮の地位を定める裁判であって、いわゆる執行保全手続きのことである。
不当に解雇された場合、当該地方裁判所に「地位保全の仮処分」申請を行い、地位保全が仮に認められた場合には賃金支給が命ぜられるがすべて確定するまでの「仮処分」である。
- 過労死
- 長時間労働やストレスによって、多くは働き盛りの中高年がおこす突然死をいう。
仕事上の疲労やストレスの蓄積が原因で脳・心臓疾患を起こし死に至るケースを過労死と呼んでいる。業務上の災害のうち、疾病の範囲については、労働基準法第75条及び同法施行規則第3条別表第1の2において制限列挙されているが、過労死という概念は例示されていない。過労死が業務上の疾病として認定をうけるには、業務に起因して発症したという因果関係が明らかであるということで、労働基準監督所長の認定を受けることが必要である。認定基準について、「きびしすぎる」という意見もあるなかで、厚生労働省は2001年12月に、判定のための対象期間を従来の一週間程度から六カ月間まで広げるなど認定基準を改正し、全国の都道府県労働局に通達した。
新基準の特徴は@対象期間を六カ月間まで広げ蓄積疲労も考慮A時間外労働の長さとの関係を数字で明示B労働時間のほかに不規則勤務など六つの就労状況も判断の対象―などを盛り込んだ点。
時間外労働時間については、一カ月当たり四十五時間を超えるほど関連が強まり、一カ月で百時間、または二カ月から半年にわたり八十時間を超える場合は関連が強いとしている。
労働時間のほかに@不規則な勤務A拘束時間の長い勤務B出張の多い業務C交代制勤務・深夜勤務D作業環境E精神的緊張を伴う業務……も判断材料に入った。
- 完全失業率・完全失業者
- 15歳以上の労働力人口のうち、完全失業者の占める割合をいう。完全失業者とは、労働力調査期間中(毎月末1週間)、1時間以上賃金等収入を伴う仕事をしなかった者(会社からら休業手当等を受けている者は除く)のうち、就業を希望し、仕事を探していた者、または仕事があればすぐつける状態であって、過去に行った求職活動の結果を待っている者をいう。したがって、実質的に失業状態にあるにもかかわらず就職活動をあきらめてしまった者は失業者には入っていない。
2001年11月には過去最悪の5.5%を記録し、完全失業者数350万人と厳しい状況が続いている。
- カンパ
- その1:カンパニア(ロシア語)の略。闘争もしくは活動の意味。とくに広く組合員や勤労国民に訴えて、ある目的を達しようとすることための平和のための行動や運動を展開する組織をカンパニア組織、カンパニア運動などとよぶ。
その2:もうひとつの意味は、組合員や広く一般の人に呼びかけて争議支援や闘争目的のために資金を募ることをカンパという。
- 幹部請負
- 労働組合というのは大衆組織であるが、執行部など役員を選出して日常活動・組合運営を行っているが、この活動が組合役員だけに委ねられる場合「幹部請負」といわれる。幹部請負でなく、組合員参加の日常活動が求められている。
反対語:大衆闘争
- 機関会議
- 労働組合では様々な会議・集会がもたれるが、組合規約で定められている決議機関会議で大会、委員会(中央本部の場合は中央委員会)、執行委員会などを機関会議という。
- 休憩時間
- 労働時間の途中において、一定時間労働する義務が免除されること。労働基準法第34条は、憲法第27条をうけ、労働条件の一内容として、休憩に関し定めている。労働時間が6時間を超える場合は、少なくとも45分、8時間を超える場合は、少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えることと、休憩時間を自由に利用させることを定めている。ただし、長距離にわたり継続して乗務する運転手、車掌など特定の業務に従事するものは、適用が除外されている。
- 休日
- 労働の義務がないと労働契約、就業規則、労働協約等によって定められている日。すなわち、労働の義務のない日をいう。労働基準法第35条は、使用者は労働者に対し毎週少なくとも1回、又は、4週間を通じて4日以上の休日を与えることを定めている(法定休日)。この他、週休日以外の休日として、国民の祝日や年末年始の休日があり、各企業においてそれぞれ定めている(法定外休日)。なお、行政解釈では、「1週間」とは、就業規則等に特段の定めがない限り日曜日から土曜日に至る1週間をいい、「1日の休日」とは、原則として、午前0時〜午後12時までをいうとしている。
- 希望退職
- 企業経営が不振、あるいは新たな設備敷設などによって労働力の削減をはかる場合、直接的に従業員の解雇はおこなわずに、退職を希望する労働者を募ること。その対象範囲は、全従業員から募る、一定の年齢を設定してその上・下から募る、特定の部門だけから募る、特定部門において一定の年齢層を設定して募る、などいくつかのものがある。
希望退職者については、退職金・その他について従来規定に定めたものより優遇して措置するのが一般的である。労組が存在する場合は、その実施の可否、実施する場合の対象範囲、人員数、優遇措置などについて、団体交渉で決定してから実施するのが一般的である。
希望退職といっても、会社側が退職させたいと考えている従業員に、管理職などをつうじて、暗に「会社に残っても居場所がないよ」と「肩たたき」などが行われる例も少なくない。したがって、「希望」といいながら、本人の意思に反して会社が希望するものを辞めさせる実態もある。
- 緊急命令
- 労働委員会の命令を不服としてその取消の訴を使用者が裁判所に起こした場合、その裁判所は、当該労働委員会の申立により、使用者に対し当該事件の判決の確定に至るまで、その命令の全部又は一部に従うべき旨を命じることができる(労働組合法27条8項)。不当労働行為の救済をできるだけ迅速に行うための、緊急的措置である。
- クラフトユニオン
- 職種別組合、職業別組合、職能組合の意。同じ仕事をしている仲間達が企業(会社)のワクを超えて1つの労働組合に直接加入するというもの。アメリカやヨーロッパでは一般 的な組織形態である。日本での連合加盟組織では全日本海員組合や労働者供給事業をしている労供労連がクラフトユニオンに規定されている。
なお、全国一般内にも、製材労働者や印刷労働者の業種合同労組としてのクラフトユニオンがある。
- 刑事上の免責
- 労働組合法第1条第2項は、「刑法第35条の規定は、労働組合の団体交渉その他の行為であって、前項に掲げる目的を達成するためにした正当なものについて適用があるものとする。」と規定している。この規定の趣旨は、労働組合が行う正当な争議行為等については、その行為が仮に刑事上の罰に該当する場合でも、正当な行為としてその違法性がなくなり、処罰されることがない。
- 合同労組
- 企業の枠をこえて労働者を個人単位で組織している労働組合。主として中小・零細企業の労働者を対象としている。労働者ひとり一人が直接加盟の形式で参加する、というのが基本的組織形態である。
1955年に全国一般が結成されることによって、日本ではじめての合同労組の全国組織として発足。以降、全国一般はあらゆる産業・業種及び雇用形態にとらわれることなく誰でも加盟できる組織として歩んでいる。
- 雇用調整
- 解雇、希望退職の募集等による雇用量の節減をさす。広義においては時間外労働規制などによる労働投入量の節減をさす。
雇用調整の手段としては、解雇・希望退職の募集のほか、配置転換・出向・残業規制・一時休業・休日の増加等種類が多い。
不況で経営の悪化した企業は、生産調整とならんで、雇用調整を行うことが多い。臨時・季節労働者から常用労働者に雇用調整が及ぼされ、不況が長引くに従い、残業規制・一時休業等の労働時間短縮から、採用抑制・解雇等の雇用量節減へと、とられる手段は変化する。
- 雇用保険法
- 労働者が失業した場合に必要な給付を行うことにより、労働者の生活の安定を図るとともに、求職活動を容易にする等その就職を促進し、あわせて、労働者の職業の安定に資するため、失業の予防、雇用機会の増大、雇用構造の改善、労働者の能力開発及び向上、その他労働者の福祉の増進を図ることを目的として、失業保険法(昭和22年法律146号)が全面的に改正され1974年12月に制定された法律(75年4月施行)。この法律の施行により、失業手当の支給などの事後的な対策から一歩ふみこんで、より積極的な雇用の維持・促進、失業の予防と雇用機会の増大、雇用構造の改善、労働者の能力の開発・向上などを視野にいれた積極的労働力政策が展開されることになった。
具体的には、失業給付の体系をあらためるとともに、新たに雇用改善、能力開発、雇用福祉の3事業を創設し(78年10月に雇用安定事業が追加)、適用対象も全産業全事業所に拡大した。
- 裁量労働制
- 業務の性質上、一斉始業・終業になじまず、かつ上司による指示や時間管理が困難な業務について、仕事のやり方を労働者本人の裁量に委ねる働き方をいう。働く時間は本人が自由に決定し、一日の労働時間は5時間でも10時間でも良い。賃金は、労使協定に定めたみなし労働時間に対して支払われる。
裁量労働制はこれまで、研究開発、取材・編集、デザイナーなど高度に専門的知識を有する業務に限定されていたが、労働基準法改訂にともない1998年4月より対象業務が拡大され、本社などで企画立案にあたるホワイトカラー層に適用可能となった。裁量労働制の場合は、時間管理から外れるため、真に本人の裁量権が担保されることが保障されなければならない。「裁量権なき裁量労働」の拡大、長時間労働の放置されることになってはならない。
企画裁量型での裁量労働制の実施に際しては、労組の有無にかかわらず、労使同数の「労使委員会」の設置が義務づけられ、対象業務および対象者の範囲、みなし労働時間、健康と福祉の確保措置などを「全会一致」で決議することが必要となっている。
- 集団交渉
- 複数の企業の使用者と労働組合が、同一のテーブルに集合しておこなう団体交渉方式のこと。統一交渉が困難な場合に、事実上統一交渉に近い成果を上げることを目的としており、私鉄総連やゼンセン同盟の繊維部門などを中心にひろく行われてきた。全国一般においても自動車教習所、生コン、木材産業などで地域別に集団交渉を取り組んできているが、私鉄における集団交渉が実質的に崩壊するなかで、集団交渉に対する経営者側の拒否反応は強まってきている。
関連語:統一交渉
- 人事院勧告(人勧)
- 人事院がだした公務員給与の勧告を国会および内閣が実施すること。1947年の国家公務員法改正にともなって公務員の団体交渉権、争議権が制限され、その代償措置として、給与や勤務時間などの勤務条件改善は、人事院が社会一般の情勢に適応するように、随時国会や内閣に勤務条件の変更を勧告することになった。とくに給与に関して人事院は少なくとも年1回、国会および内閣に報告しなければならない。1970年以降は実施時期についても勧告どおり完全実施されるようになった。
関連用語:
- 民間賃金準拠
=人事院が勧告するにあたって民間労働者の賃金を調査しその民間賃金に準拠すること。- 人勧準拠=福祉や医療関係の自治体関連職場での賃金決定にあたっては公務員の人事院勧告にもとづいて決定されたことをうけて、自治体関連職場でも人勧に準拠して賃金が決められること。
- 使用者概念の拡大
- その1: 使用者とは一般的に、雇用契約の当事者として労働者にたいして賃金を支払うことを約する事業の主体である法人または個人をさすが、労働組合法における使用者とは、集団的労使関係において一方の当事者となる者とされる。労働組合法7条は使用者の不当労働行為を禁止しているが、使用者の利益を代表する職員(部長、課長など)が不当労働行為に該当する行為をおこなった場合は、使用者の概念を拡大して、使用者が不当労働行為をおこなったものとみなされる。
その2: 中小企業や下請企業では親企業が役員を派遣いたり実質的に「生殺与奪」を握っている場合が多い。したがって、当該労使関係を超えて、法人格が相違していても、子会社や下請会社の労務政策に実質的に強い影響力をおよぼしている場合には、不当労働行為制度上の使用者とみなされる。
団体交渉の当事者としての雇用責任の問題は、今日では、持ち株会社、多国籍企業の機能の問題などにつながる。
同義語:法人格否認の法理
- 最低賃金法
- 最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければならない。@労働条件の改善を図り、A労働者の生活を安定させ、B事業の公正な競争の確保に資するとともに国民経済の健全な発展に寄与する目的で最低賃金法が制定された。
最低賃金法第3条により、(1)労働者の生計費、(2)類似の労働者の賃金、(3)通常の事業の賃金支払能力の三要素を勘案して決定するとしている。実際の地域最低賃金では「類似の労働者の賃金、賃金支払能力」などを理由として、生活が維持できる水準になっていない。したがって、働いて得た賃金で生活できる全国一律最賃の実現が課題となっている。
- 地域別最低賃金
地域別最低賃金は、産業や職種にかかわりなく、すべての労働者とその使用者に対して適用される最低賃金として、都道府県ごとに47の最低賃金が定められている。
- 産業別最低賃金
関係労使が基幹的労働者を対象として、地域別最低賃金より金額水準の高い最低賃金を定めることが必要と認めるものについて設定されている。産業別最低賃金は、(1)関係労使が(2)労働条件の向上または事業の公正競争確保の観点から(3)地域別 最低賃金より金額水準の高い最低賃金を必要と認める場合に設定される。
- 労働協約の拡張適用による地域的最低賃金
- 36協定(サブロク協定)
- 労働基準法では、1週間40時間、1日については8時間労働を原則とし(労働基準法32条)、さらに、毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない(労働基準法35条)としている。
この原則を超えて時間外労働又は休日労働をさせるためには、使用者は、その事業所の労働者の過半数で組織する労働組合がある場合にはその労働組合、ない場合には、労働者の過半数を代表する者と書面による協定をむすび、労働基準監督署に届け出なければならない。協定には、時間外労働、休日労働をさせる具体的な理由、仕事の種類、労働者の数、延長することができる時間、又は労働させることができる休日について記入し、有効期間を定めておかなければならない。
- 産前産後の休業
- 女子労働者の出産前及び出産後の休業のことで、母性保護の見地から産前産後の女子の就業を制限したものである。
休業期間については、産前6週間、多胎妊娠の場合にあっては10週間を本人の請求による選択的就業制限とし、産後については6週間を絶対的就業制限、その後2週間を医師の証明を条件とする選択的就業制限としている。休業中の賃金については、労働基準法には特に定めがなく、健康保険では出産手当金として標準報酬日額の6割が支給される(健康保険法50条)。
- 時間給
- 定額賃金制の最も基本的な形態で、賃金が時間単位で決められるものをいう。時間給は、時間当たり賃金が明確であって賃金計算がもっとも簡単にできるのがその特徴であり、パートタイム労働者、アルバイト、臨時労働者、季節労働者、派遣労働者については、時間給制を適用しているものが多い。
- 社会保険制度
- 社会保険制度は、健康保険、雇用保険、厚生年金、介護保険制度がある。1927年に健康保険制度が実施された。健康保険では企業の規模によって大手企業や業界で運営する組合管掌(組合健保)と中小企業などをカバーする政府管掌(政管健保)の2つの制度がある。官公庁などの職員は別だての共済制度に加入している。
厚生年金制度は、戦時下で労働者に強制貯蓄をおこなわせるという機能をともなって発足し、1954年の新法により再発足した。健康保険から分離して、失業保険は1947年に成立し、1975年に現在の雇用保険にかわった。労働者以外の一般国民を対象とする国民皆保険・国民皆年金制度として、国民健康保険、国民年金として制度化された。
- 就業規則
- 就業規則とは工場、事業場における労働者の賃金、労働時間などの労働条件及び服務規律、あるいは職場の慣行を成文化したものをいう。労働基準法では、常時10人以上の労働者を使用する事業場の使用者に対し、就業規則を作成し、労働基準監督署に届け出ること(89条)、常時各職場の見易い場所に掲示するなどして労働者に周知すること(106条)の義務を負わしている。しかし、労働組合がない職場では、「就業規則をみたことない」という労働者も多く、不当に解雇、処分された場合、「就業規則ではどうなっているのか」が重要となってくる。会社側が就業規則を開示しない場合は該当地域の労働基準監督署にいって閲覧することができる。
- 出向
- 自社の労働者を子会社とか系列会社など他社で働かせること。もとの企業との雇用関係を保持したまま出向させる在籍出向を出向という。似て非なるものが、雇用関係を解消して出向先との雇用関係を形成する転籍があるが、転籍の場合には実質的に解雇であり本人同意が必要となる。
出向も勤務場所、労働条件の変更であり、本人の同意を条件とすることが必要である。
- ストライキ
- 日本語では罷業または同盟罷業という。労働者が雇用や労働条件の維持・向上などを目的に団結して、労働力の提供を拒否(仕事をしないこと)し、その持つ労働力を使用者に利用させない行為。ストライキは労働者の最大の武器であり、団結の証でもある。ストライキは労働契約上の労務提供義務の不履行となるが、その責は問われない=民事上免責(労働組合法8条)。
関連語:
- 同情スト
- ゼネスト(ゼネラルストライキ):全労働者が共同して同時に行うストライキ。経済的ゼネスト、政治的ゼネストがあるが、物価、年金など社会保障制度など政治的課題でのストライキ計画が主たるものとなっている。
- セクシュアル・ハラスメント
- 「性的いやがらせ」を意味するセクシュアル・ハラスメントの略語。当事者の望まない性的な働きかけや言動を指し、上下の力関係を反映していることが多く、職場で地位等を利用して性関係を強要したり、性的言動によって職場環境を不快にすること。セクシュアル・ハラスメントの実行者だけでなく、1999年から施行された改正男女雇用機会均等法では、使用者側に防止義務を課している。
- 争議権
- 労働者が自らの労働条件を向上させるために、使用者に対して、要求を獲得するための闘争手段として、ストライキ、時間外労働拒否、集会、その他の争議行為をなす権利。憲法第28条で「団体行動をする権利」として保障している。これに基づき正当な争議行為は労働組合法で刑事上の免責、民事上の免責がある。
- 大会
- 労働組合法第2章第5条には「総会(大会)は少なくとも毎年1回開催すること」と明記されている。当該労働組合の最高決定機関。大会では、付議事項として、運動方針、予算、役員人事などの案件の決定し、また年度の活動・会計報告などを行うことになっている。全国一般は、定期全国大会を8月末に3日間の日程で毎年開催している。
- 男女雇用機会均等法
- 「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等女子労働者の福祉の増進に関する法律」の略称。この法律は、@募集・採用から定年・退職・解雇までの雇用のすべての局面における男女の均等な機会及び待遇の確保のために必要な事業主の構ずべき措置
……募集・採用及び配置・昇進については、均等な機会、取扱いをするよう努力義務を課し、一定の教育訓練、一定の福利厚生及び定年・退職・解雇については差別的取扱いを禁止……、A男女の均等な取扱いに関する女子労働者と事業主との間の紛争の解決のための措置……苦情の自主的な解決、都道府県婦人少年室による紛争解決の援助及び機会均等調停委員会による調停……B女子労働者の就業に関する援助の措置を定めている。
- 団体交渉権
- 労働者が団体交渉をする権利。労働者が個々に使用者と労働条件を契約すると、雇う者と雇われる者として労働者が不利になる場合が多いので、労働者が団結の力を発揮して、集団的に交渉するなかで対等な交渉を担保するために認められている。憲法第28条及び労働組合法はこれを権利として保障している。労働組合が団体交渉を申し込んだとき、使用者は正当な理由なしに拒否した場合は不当労働行為にあたる(労組法第7条)。
- チェック・オフ
- 労働基準法に定められている制度で、労働組合費徴収の一方法として、使用者が労働者に賃金を渡す前に賃金から組合費を差し引き、一括して組合に渡すこと。チェック・オフ(組合費天引)を行うためには、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは、労働者の過半数を代表するものとの書面による協定が必要である。(労働基準法24条1項但書)。
- 賃金の支払の確保等に関する法律(賃確法)
- 企業倒産に伴う未払い賃金を、事業主に代わって立替払することによって、労働者の賃金を実質的に確保し、労働者の生活を守ろうという趣旨で設けられ、2002年1月1日から改正施行され、増額された。
<立替払いを受ける要件>
1.使用者が、@1年以上事業活動を行っていること。A倒産したこと。
イ.法律上の倒産(破産、特別清算、会社整理、民事再生、会社更生)
ロ.事実上の倒産(中小企業について、事業活動が停止し、再開する見込みがなく、賃金支払い能力がない場合)
2.労働者が、倒産について裁判所への申立て等(イ.の場合)又は労働基準監督署への認定申請(ロ.の場合)が行われた日の6か月前の日から2年の間に退職した者であること。
<対象となる未払賃金>
労働者が退職した日の6カ月前から立替請求日の前日までに支払期日が到来している定期賃金と退職手当のうち、未払となっているもの。いわゆる一時金(ボーナス)は立替払いの対象とはならない。また、未払賃金の総額が2万円未満の場合も対象とはならない。立替払いの額は対象となる未払賃金の8割となる。
<2002年1月1日改正施行>
対象となる未払賃金の上限
30歳未満:110万円、30歳〜45歳未満:220万円、45歳以上:370万円
- 定期昇給・ベア
- 定昇(定期昇給)は、年齢・勤続が1歳・1年増すことによる昇給だが、ベア(ベースアップ)は、各年齢ポイントの賃金額を斉に底上げすること。定昇は賃金カーブ上の移動だが、ベアは賃金カーブそのものの上方移動である。「賃上げ」という場合は、通常この定昇とベアの合計金額を言う。
- 定年制
- 労働者が一定年齢に達したことに伴う、自動的な退職。定年制が中小企業まで含めて広く 般化するのは、第2次大戦後である。定年制は年功賃金、終身雇用を前提とするわが国特有の労務管理のなかで、人事の新陳代謝を制度的に確保するという調整的機能を果たしてきた。
人口の高齢化に伴い、経済的・社会的にも活力を維持するためには、高年齢者の労働能力の活用が重要な課題となっている。それを受け昭和61年に「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」が成立、施行され、60歳定年が事業主の努力義務とされた。
- デフレ
- デフレーションの略。インフレが持続的な物価上昇をさし、広範に超過需要が存在する状態であるのにたいし、デフレは逆に、持続的な物価の下落のことで、広範に超過供給の存在する状態をいう。デフレが持続すると、企業部門の収益減少、生産縮小、失業増大の結果、経済活動の沈滞化と社会不安をもたらすことになる。
- 同一労働同一賃金
- 同一価値労働同一賃金ともいう。ILOにおいても、国際労働機関憲章の前文に同一価値労働・同一報酬の原則をうたっており、1951年(昭和26年)の100号条約「同一価値の労働についての男女労働者に対する同一報酬に関する条約」をわが国も1967年(昭和42年)に批准している。労働基準法第4条において、女子であることを理由として賃金について差別的待遇をしてはならないとしているが、昇進・昇格での差別的扱いや女性労働者の約45%は非正規(非典型ともいう)雇用であるパート、契約、アルバイト、派遣労働者であり、雇用形態による賃金・待遇格差解消が課題となっている。
- 日給制
- 定額賃金の一つであり、賃金額を1日についていくらと、日を単位として定めている賃金形態。時間給、週給、月給とともに定額賃金制の一形態である。日給制には二つの形態があり、労働した1日の賃金をその日のうちに支払うものと、賃金の計算は、実際労働した1日についてなされるが、支払は月給制と同様に1か月に1回支払われるものとがある。賃金計算が1日を単位としている点で、月を単位として欠勤日数に対応する賃金を差し引く日給月給制と異なる。
- 日給月給制
- 定額賃金の一つの形態である。賃金を月を単位として算定して支払う点では一般の月給制と同様であるが、遅刻・早退・欠勤等により、所定の労働をしなかった場合には、定まった賃金のうちから、その労働しなかった時間数又は日数に応じて一定額を差し引き、その残額を支払う制度である。一応、月を単位として賃金を定めているので、月給制の一種とされる。
- パートタイム労働者
- パートタイム労働者の定義については、必ずしも明確ではない。ILO事務局は、パートタイム労働とは、「世間一般の正規の労働時間よりも短い時間数を1日または1週単位で就業すること、この就業は規則的・自発的であること」としている。
「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(通称パートタイム労働法)によれば、「短時間労働者」とは、1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比し短い労働者としている。
- 標準労働者
- 学校卒業後、即入社し、以後転職することなく、通常の昇進・昇格を果たしてきている労働者を標準労働者という。最近は特定の標準労働者を設定して、その人の賃金水準なりベアを、他労組との比較に用いることが多くなってきた。具体的には「高卒30歳勤続12年」、「高卒35歳勤続17年」という標準労働者を設定する労組が多く、その賃金水準が標労賃金とかポイント賃金といわれるものである。格差是正をするためには、同一の標準労働者を設定して比較しよう、という考えに立っている。しかし難点もあり、特に中小零細企業には標準労働者の存在しない場合も多く、大企業の標準労働者賃金と比較できないこと、さらには賃金原資総額が平均賃金方式では明らかになるが、標準労働者方式では、標準ポイント以外の賃金実態が不透明となることなどがある。したがって格差是正に取り組めないという実態も生じている。
- 非自発的失業
- 完全失業率・失業者数は、総務省が毎月末に発表している(労働力調査)。失業の理由の違いにより、完全失業者を以下の4つに区分している。
@非自発的な離職による者=勤め先や事業の都合(人員整理・事業不振、定年等)で解雇され、仕事を探している者。
A自発的な離職による者=自分または家族の都合で前の仕事を辞めた者。
B学校卒業者で未就職者。
Cその他で、いずれも求職中の者。
- 不当労働行為
- 労働組合の結成、運営などに使用者が妨害または介入する行為のことで、労働組合法第7条によって禁止されている。
@労働者が労働組合の組合員であること、または、組合に加入し、もしくは組合を結成しようとしたことなどを理由として、不利益な取扱いをすること。
A正当な理由なくして団体交渉を拒否すること。
B労働組合を支配し、又は介入をすること。
C労働者が不当労働行為の申立てをしたこと等、を理由として不利益な扱いをすることなど、いずれも不当労働行為である。
このような不当労働行為に対しては労働委員会に救済申立てをして労働組合の権利をまもっていくことが必要である。
- 変形労働時間制
- 法定労働時間は、労働基準法第32条に規定されるとおり週40時間労働制、1日8時間労働制の原則がとられているが、特定の週及び特定の日に法定労働時間の枠を超えて労働させることがあるとしても、一定の期間を平均すれば法定労働時間内の範囲内にあるという場合には、法定労働時間を超えたとの取扱いをしない制度。
それぞれの変形労働時間制の要件は、以下のとおり。
@1か月単位の変形労働時間制
就業規則等により各日、各週の労働時間を具体的に定める
A1年単位の変形労働時間制
労使協定の締結と届出が必要
1週48時間、1日9時間(変形期間が3ヵ月以内は1週52時間、1日10時間)が限度
B1週間単位の非定型的変形労働時間制
労使協定の締結と届出並びに労働者への事前の書面通知
1週42時間 1日10時間が限度
Cフレックスタイム制
就業規則に規定するとともに労使協定を締結
- ポスト・ノーチス
- 労働委員会による不当労働行為の救済命令の一種であって、使用者の過去の不当労働行為の陳謝、今後不当労働行為を繰り返さない旨の誓約等の掲示をいう。「会社は従業員が労働組合を結成すること、また、その運営を妨害しない」等の文書を会社事業所構内の従業員の見やすい場所に掲示するのがその例である。これは、使用者に対する自戒と不当労働行為再発防止の効果があるものとされている。
- 未組織労働者
-
- 民事上の免責
- 労働者が就業規則や労働協約に定められた労働時間に働かず、使用者が損害をこうむった場合、普通には民法上の債務不履行として損害賠償の対象となるが、労働組合法第8条は、労働組合及び組合員が正当な争議行為の結果として、使用者に損害を与えても、不法行為ないし債務不履行を理由として損害賠償の責を負わないことを定めている。
- メンタル・ヘルス(mental health)
- 心の健康ないし精神健康をいう。現代社会のストレスに対して不適応を起こす人々が増大するとともに、メンタル・ヘルスの重要性の認識が急速に高まっている。同義語として、精神保健がある。
- 有効求人倍率
- 有効求人とは、公共職業安定所に申し込まれた求人であって求人申込の有効期間(紹介期間)が存続しており、かつ、申込の取消がなく、未だ充足されていない求人をいう。また、統計上では、「前月より繰り越された有効求人数」と「当月の新規求人数」の合計を「月間有効求人数」とし、求人数の推移を示す指標としている。
- ユニオン・ショップ
- 企業に「採用された後は一定期間内に一定の労働組合に加入しなければならず、そして当該組合からの脱退又は除名により組合員資格を失ったときは解雇される」という協定をユニオン・ショップ制という。組合としては、加入のオルグをしなくても一定期間後に自動的に組合員になるので、団結力が希薄になる側面もある。
関連語:
クローズドショップ=「一定の労働組合に加入している労働者でなければ採用せずかつ当該組合からの脱退または除名により組合員資格を失ったときは、解雇する」という協定のこと。
オープンショップ=労働者が労働組合に加入するか否かは自由であること。
- 労働委員会
- 労働者の基本的な権利の保護と同時に労使関係の安定を図るために紛争の解決にあたる行政機関。労働者・使用者・公益を代表する委員で構成されている。中央労働委員会と都道府県ごとに設置されている地方労働委員会とがある。その機能は、斡旋、調停、仲裁等の調整的なものと、労働組合の資格審査、不当労働行為の判定などの判定的なものとがある。地方労働委員会の命令に不服がある場合、中央労働委員会に再審査申立てができ、さらには東京地裁、高裁、最高裁まで争うこともできるので、事実上5審制ともいわれており、不当労働行為救済の実効性が問われている。
- 労働基準法
- 憲法第27条第2項の規定に基づいて、労働者の労働条件についての最低基準を定めている。違反した場合は刑罰をともなう強行法規であるが、労基法違反事例が後を絶たない。労基法は、労働条件について労使対等の決定原則を規定しているが、そのためには労働組合がなければならない。労働基準として労働契約、賃金、労働時間・休憩・休日・年次有給休暇などが規定されている。労基法を下回る就業規則、労働協約規定は無効となり、労働基準法が適用される。
- 労働三権
- 憲法28条によって基本的人権の重要な一部分として保障されている。三権とは、団結権、団体交渉権、団体行動権(争議権=スト権)を指す。この憲法の規定にもとづいて労働基準法、労働組合法などが存在する。また、憲法27条の勤労権を加えて、労働基本権ともいう。
- 労働協約
- 労働協約は「使用者と労働組合との間の書面による協定」(労働組合法第14条)のことで、労働協約の締結能力をもつ労使両当事者が署名し、または記名押印することによってその効力が生じる。この要件と形式を備えていれば、記載事項や名称は自由で、「協定」とか「覚書」、「確認書」等の名称であっても法律上はすべて労働協約と認められる。したがって、協約としては大系だっていなくて、交渉合意事項の積み上げていく事例も中小企業では多い。
労働協約の内容を大別して、労働条件など労働者と使用者との労働契約の内容となる規定、例えば、賃金、労働時間、休日、人事、福利厚生などの各条項を規範的部分という。
一方、個々の労働者には関係なく、労働組合と使用者との一定の権利、義務の関係を設定した部分、例えば、団体交渉のルール、組合活動、組合保障(ショップ制)などを債務的部分という。
- 労使協定
- 労働協約が労働組合法上の規定であるのに対し、労使協定は労働基準法上の規定となる。使用者と事業場の過半数の労働者で組織された労働組合または過半数を代表する者との間で締結した文書のことです。労使協定には、いわゆる三六協定(時間外・休日労働に関する協定)や二四協定(賃金控除協定)、変形労働時間制に関する協定、年次有給休暇の計画的付与に関する協定など、労働基準法に定められている。また、労使協定には、行政官庁への届出が必要なものと必要ないものがあります。
労働基準法で定められている労使協定は次の通り。
- 貯蓄金の管理に関する協定(労働基準法第18条)
- 賃金支払いに関する協定(労働基準法第24条1項)
- フレックスタイム制に関する協定(労働基準法第32条の3)
- 1年単位の変形労働時間制に関する協定(労働基準法第32条の4)
- 1週間単位の非定型変形労働時間制に関する協定(労働基準法第32条の5)
- 時間外・休日労働に関する協定(労働基準法第36条)
- 事業場外労働に関する協定(労働基準法第38条の2第4項)
- 裁量労働に関する協定(労働基準法第38条の2第4項)
- 計画年休に関する協定(労働基準法第38条第5項)
- 年休の賃金支払いに関する協定(労働基準法第39条第6項)
- 1ヶ月単位の変形労働時間制に関する協定(労基法第32条の2)
- 一斉休憩の適用除外に関する協定(労基法34条の2)
- 労働組合法
- @労働者が使用者との交渉において対等の立場にたっことを促進することにより労働者の地位を向上させること。
A労働者がその労働条件について交渉するために自ら代表者を選出すること、その他の団体行動を行うために自主的に労働組合を組織し団結することを擁護すること。
B使用者と労働者との関係を規制する労働協約を締結するための団体交渉及びその手続きを助成することを目的とし、労働組合、組織、不当労働行為、正当な組合活動に対する民事上・刑事上の免責、労働委員会などについて定めている。
- 労働契約期間
- 労働基準法第14条では、雇用契約を締結する場合に、期間の定めをしないか、又は、期間の定めをする場合には、1年を超える期間の定めをすることを禁じている。これは、もっぱら、労働契約期間を長期に定めることによって、労働者を長期間拘束することを法で禁止したものである。ただし、14条1〜3項で新事業の展開などの場合、厚生労働大臣が告示した高度に専門的知識を有する労働者の場合は3年の有期が認められている。
- 労働債権
- 企業が労働者に支払うべき賃金や退職金など、労働者が受け取る権利をもつ債権のこと。企業が倒産すると、未払い賃金や退職金は「労働債権」として、企業に支払い義務があり、他の債権に優先して支払うことが法律で定められている。
ただし労働債権は、取引先への未払い代金など担保のない一般債権より優先されるとはいえ、担保付きの債権や税金より支払い優先順位が劣り、現実には、労働債権を支払う前に、金融機関など大口債権者が会社資産を差し押さえて債権回収してしまう、税金・社会保険料の未納分が優先されることによって労働債権の確保が厳しい実態にある。
なお、ILO173号条約は「労働債権は、使用者の支払不能の場合には、国および社会保障制度の債権(税・保険料)よりも高い順位の特権を与えるか、労働債権を保障する制度の確立」と定めているが、日本政府は批准していない。
- 労働三法
- 労働者の生活と働く権利を保障するために制定された法律を総称して労働法というが、その中で労働組合法、労働関係調整法、労働基準法を労働三法と呼んでいる。
- ワーク・シェアリング
- 「仕事の分かち合い」という意味であり、労働者1人ひとりの労働時間を短縮することによって、全体としての雇用者数の維持・増大を図ろうとする考え方。1970年代に大量失業を抱える欧米諸国で、いくつかの施策が試みられ、オランダ・モデルなどがある。
2001年4月に厚生労働省の研究会では、次の4類型があることを発表している。
(1)雇用維持型(緊急避難型):緊急避難措置として、従業員1人あたりの所定内労働時間を短縮し、より多くの雇用を維持する。
(2)雇用維持型(中高年対策型):中高年層の雇用を確保するために、中高年層の従業員を対象に労働時間を短縮しての雇用維持。
(3)雇用創出型:新たな就業機会を提供することを目的に労働時間を短縮し、多くの雇用機会を確保。
(4)多様就業対応型:短時間勤務を導入するなど勤務の仕方を多様化し、より多くの労働者に雇用機会を確保する。
今日、ワークシェアリングが話題となっているのは、失業者・率の高まりのなかで緊急避難としての雇用確保であるが、サービス残業の一掃、時間外労働の抑制、新たに採用するよりも時間外労働で対応した方が割安になる低い時間外割増賃金率、低い有休休暇取得率など、時短によって仕事の分かち合いという場合、まずサービス残業の一掃、時間外労働の抑制実現が条件整備として必要であり、たんなる、賃金削減策に利用されてはならない。また、ワーク・シェアリングを実施する場合でも労使対等での協議と同意が担保されることが必要である。
- 割増賃金
- 労働基準法では、@法定の労働時間(1日8時間)を超えて労働させた場合、A法定の休日(毎週1日)に労働させた場合又はB午後10時から午前5時までの深夜に労働させた場合には、これらの時間外労働、休日労働又は深夜労働に対して、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分以上(休日労働の場合は、3割5分以上)の率で計算した割増賃金を支払わなければならないこととされている(労基法37条)。
この割増賃金率は国際的にみてもきわめて低い水準であり(欧米では残業は50%増、休日労働は100%増が多数)、しかも、新たに採用して雇用を増やすより、時間外労働手当てを支払った方が経営者としては安上がりになるという問題をかかえている。
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